同人サークル《栄園亭の囲炉裏》

今年行われるだろうコミケ91に向け、初めて同人活動をする僕達。何もかもが手探りなお使い感覚。 果たして間に合うのだろうか。Twitter @eiennteinoirori  記載された内容に関しては転載禁止でお願い致しますす。

この度発足と相成った同人サークル《栄園亭の囲炉裏》

とはいえメンバーは3人。 こんなものかと思ってみれば前途多難かつ艱難辛苦であり、やっぱり五里霧中なので、こんなブログを始めるのにすら時間が掛かる始末。 大目に見てもらおうと思ったが矢先に槍衾を食らわされた様な顔面はいつも通り。 あ、Twitterとい…

断念ダンジョンまた来年…なんて行くわけないので第23回文学フリマ東京に参加します。

と言うことで、泣く泣く91を見送りました(泣) ネットを見てたら文学フリマというものを知った、知ったら今度は応募した、通ったので瀕死になりつつ作品だします(謝罪) 第23回文学フリマ東京 (2016/11/23) 開催地 東京都大田区平和島6-1-1 東京流通センタ…

短編 16 【本田さん】

店のドアが開くと一人の男性が入ってきた。上海パブと銘打ったこの店の女の子達が一斉に迎えの声が上げる。夜の7時、決まって彼はここを訪れる。カウンターのママは彼に笑顔だけで奥の席へと促していた。 ママは私におしぼりと箸を渡して目配せをする。ここ…

短編 15 【ジッポー】

朝から調子が悪いのを何となく覚えながら仕事をしていた。会社のトイレでその原因を晴らせば良いのだが、人目が気になってしまいずるずると昼までもつれ込んでしまった。それでも波は一旦落ち着いたので、昼飯を買いに行く為に外へ出た。ついでに済ませるつ…

短編 14 【川の跡】

帰路を歩く。長く伸びた道は緩くカーブを描いて僕の家へと続いている。地面は赤いタイルで舗装されて、その両脇には植込みが並ぶ。現れるカーブは何度もその軌道を変え、行く先を隠すが通い慣れた僕にはその後の風景が思い浮かぶ。 何でも父親が言うには、…

短編 13 【黒い爽快感】

家の駐輪場から自転車に跨り通学路へと出てゆく。空は晴れ気候も穏やかだと言うのに、私の気分は今ひとつ外れている。体が少し重く力が思う様に入らない。加えて普段なら気にもならない上下のアンダーがとても苦しく感じられる。膝にかかるスカートの重みす…

短編 12 【価値境界線】

人間が物事を判断するに当たって、一番必要とするのが個々の価値観と言われている。それが育つのは殆どが環境によるもので、雑多な情報や諫言などでは揺るがずに定められて行くものだろう。余程の出来事がない限りだが。 そうやって培われてゆく中、やがて…

短編 11 【英雄に捧げる】

ある人物の話をしたいと思う。いきなりの事だがふと思ってしまったので仕方がない。彼は私の友人の友人。なんだかんだで人づてに噂を聞く間柄である。酒を酌み交わすこともごくたまに。そんな彼の1日は至って平穏で、何ら不審な点は無い。朝に家を出て仕事…

短編 10 【小さい冒険者】

細い道に小さな女の子が1人走っている。青いワンピースをがなびいて彼女の体を映す。晴れた今日の空に似合いの靴はアスファルトと土の上で跳ね、やがて彼女は公園に続く道にたどり着いた。駆けてく途中に畑が見え立ち止まる。膝を曲げると前かがみになって…

短編 9 【蜘蛛】

携帯のアラームが鳴るより先に、目を覚ました私。部屋に差し込み始めた日の光にぼんやりと瞬きをした。朝の私はしばらく動けず、はっきりとした意識とは裏腹に身体だけが重く動かないのだ。五分は続くその時間に私は頭を横にする。窓に向かって目を細めると…

短編 8【始めの記憶】

長い人生の間、いつまでたっても忘れられない記憶が一つある。どんな時でも不意に、脳裏へと描き出される光景だ。朝も夜も構わずにやってくる。 幼児の頃、目の前で人間が轢かれるのを見た。それは特別大きな事故ではなかったが、突如現れる車の下へ、なんと…

短編 7 【優劣】

昼休みになると、僕は数少ない友人の1人を連れて教室を出て行く。手に下げたビニール袋の音が廊下に鳴り渡らせながら校舎の外へ。隣を歩く友人は猫背が酷く、前を向くその顔は前髪が長く垂れ下がっており、隠れる様に眼鏡が見えた。2人がいつもの場所へ向か…

短編 6 【お隣さん】

暑さが染み渡る朝、支度の終えた僕はマンションの個室から出る。部屋の鍵を取り出して穴に差し込もうとすると、エレベーターホールから降りてきてこちらに近寄る男に気付く。派手な髪色に胸元の開けた黒いワイシャツ。赤茶のワニ皮で覆われたシークレットブ…

そういえば…

今更なんですが、山なし落ちなし意味なしな内容なので悪しからずんだ餅。

短編 5 【春楽し】

春が来ると私は母と近くの公園に行く。小さな小さな丘に何本もの桜が咲き誇り、往々に散ってゆく。その一時を満喫しようと今日も多くの人々が訪れていた。 既に陽は傾き始め、夕日の中に舞う桜花弁は薄紅色を見せながら地へと積もっている。母を乗せた自転車…

短編 4 【消えた女】

自分が勤める会社は都内に在り、毎朝車で通っている。途中、自宅からの道筋には大きな駅が見え、その前を通ると必ず信号待ちを食らう。そうして会社の近くまで来ると、一本の脇道に入り二軒先にある駐車場に車を停めた。 外へと降りて鞄を持つと、目的の会社…

短編 3 【夢】

彼女は街を歩いていた、誰も居ない街を。普段ならば人でごった返す駅前も、人っ子一人見当たらない。アゴに伝う汗を裾で拭うと彼女は歩き続ける。視界は狭く、呼吸は浅い。顔を覆うマスクをずらし、水筒から水を飲んだ。ぬるい温度で喉を流れる液体でも、今…

短編 2 【昼下がり】

朝の寒さが緩やかになり、陽射しが柔らかく通りに降り注いでいる。懐に収めてあった紙パック、外付けのストローに指が当たり弄ぶ。サイズの合わぬジャケットは20年も前に買い求めた物で、当時より痩せ細ってしまった今の自分が着ればぶかぶかとだらし無く見…

短編 1【朝顔】

朝には必ずその花の前を通る。私はいつも彼女の家に咲く青い朝顔に挨拶するのだ。呼び鈴をならすけど返事が来ることは無く、遅れて扉が開くと中から彼女が出てくる。 急いで出て来た彼女の、スカートが揺れて淡く赤い膝がちょっぴり覗けた。黒いブレザーに包…